中学3年生の夏、唐突に大人になるのが怖いと思った。

学生時は文化祭や体育祭、合唱祭や修学旅行など、楽しみは「外から」やってきた。学校が提供してくれた。でも大人に、社会人になるとそういった楽しみは失われ、仕事に追われてしまうものだと頑なに信じていた。大人になってしまうなら死んだほうがいいんじゃないかとさえ思っていたあの頃。粛々と進み続ける時間の中で永遠に学生のままでいたいと本気で思っていた。

あんなにも忌み嫌っていた社会人になった今、仕事が煩わしいと思うことはあれ、日常の中に楽しみはあるし、充実している。今の仕事が向いているだけなのかもしれないけれど、それなりに満たされているし仕事をすることが当たり前だと思っている。

 

先日読んだ本の中に「彼らにとって人生の一番賑やかな時期は、とっくに過ぎちゃっているからね」なる文章が出てきて、中学3年次のそうした「恐れ」を思い出した。

学生から社会人には(どうにか)成れた。でも、この先は?結婚して、子育てして、子供が手を離れて、時間に余裕ができた時、人は何を楽しみに生きればいいんだ。